トロント最大の水処理施設のアップグレード
トロントのダウンタウンの東側、オンタリオ湖畔に位置する同市のアッシュブリッジズベイ処理場は、1910年に建設され、1917年に操業を開始したカナダ最大かつ最古の浄水場の1つです。しかし、既存の排出口は1947年に建設されたもので、処理水を湖に流すには容量が不足していました。また、この排出口は現在の規制基準を満たしておらず、耐用年数がわずかしか残っていませんでした。カナダ、オーストラリア、イギリスのチームメンバーとともに、Hatchは、処理場で処理された廃水をオンタリオ湖に送るための新しいトンネル状の排出口の設計と建設を担当しました。このプロジェクトでは、3億5,000万カナダドルをかけて湖岸線に沿って立坑を掘削し、湖底の直下にある岩盤にトンネルを掘りました。処理された水は、工場から重力でシャフトとトンネルを通って湖に流れ出ます。プロジェクトの場所、複雑さ、規模など、すべてが大きな課題でした。
従来のソフトウェアの枠を超えた、より良い設計、解析、コミュニケーションのために
このプロジェクトを成功させるためには、コンピュータ支援設計とエンジニアリング解析を組み合わせたソフトウェアが必要であることを、Hatchは早い段階で認識していました。プロジェクトの建設にまつわる複数の複雑な課題を克服するだけでなく、水中の土壌や環境の特徴を考慮しながらコストを最小限に抑える必要がありました。また、この処理場は約150万人の住民にサービスを提供しているため、最終的には、地域社会と、都市の成長と拡大に伴う将来の住民の生活の質の向上を保証する必要がありました。このプロジェクトを成功させる鍵は「連携」にありました。チームはさまざまなオフィスに分散しているため、効率的なコミュニケーションのためにデジタルコラボレーションのワークフローを開発する必要がありました。
複雑な立坑/トンネルの設計
Hatchは、2015年のこのプロジェクトの初期設計段階でこのソフトウェアを使用しており、Bentleyについてすでによく知っていました。BentleyのOpenRoadsを使用して、同社のエンジニアは、湖の水位や予想されるトンネルのインバートを含む、ボーリングのログからサーフェスを作成しました。だからこそ、湖の下の地質学的な境界条件を予測して、重要な設計上の決定を下すことができたのです。HatchはMicroStationを使用して、立坑とトンネルのすべての要素をモデリングしました。これにより、トンネルのリングを完成させ、各リングの適切な回転を決定して、起こりうる接続問題を解決することができました。また、HatchはProjectWiseのコネクトデータ環境を使用して、チームが複数のタイムゾーンを越えて連携し、プロジェクトを時間どおり、予算内で進めることができるようにしました。すべてのCAD作業、エンジニアリング解析、設計をプラットフォーム上で調整し、チームはCAD図面の作業を続けながら、PDFは別のサーバーで作成できました。
期待以上の高品質の設計を実現
Hatchは、Bentleyのアプリケーションを使用することで、高品質の設計を予定よりも早くクライアントに納品しました。長さ3,500m、内径7mのトンネルを設計しました。このソフトウェアの高度なCAD機能により、スタッフの作業時間を2,000時間削減し、350,000カナダドルのコスト削減に成功しました。MicroStationの3Dモデルをレビューワークショップに使用することで、入札案件の100%を1週間前にクライアントに提出して、CADスタッフの作業時間を25,000カナダドル節約できました。また、ProjectWiseのコネクトデータ環境を使用してすべての文書と情報を共有し、プロジェクトをペーパーレス化したことで、Hatchは紙と印刷のコストを35,000カナダドル以上削減しました。この新しい排出口は、市の廃水処理能力を増強するための重要な要素であり、市の湖岸線やビーチ、オンタリオ湖の水質改善に貢献することが期待されています。
プロジェクトプレイブック: MicroStation、OpenBuildings Designer、OpenRoads、ProjectWise、STAAD